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バイオインフォマティクスでマイクロペプチド農薬を生成するMicropep、2社のCVCからの追加資金調達でシリーズB完了。ラウンド中の調達額は58億円

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マイクロペプチド農薬のためのバイオインフォマティクスプラットフォームを開発するMicropep Technologiesは、シリーズ B資金調達ラウンドを $11m(約16億円)の追加調達を行い、終了した。2024年9月26日に発表した。

Cortevaのコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)であるCorteva Catalyst、コンゴロマリットのSonaeのCVCであるSparkfoodといった2社の新規投資家、およびすべての既存投資家が応じている。シリーズBの総額は$40m(約58億円)となり、同社の資金調達総額は$60m(約87億円)超となった。

Micropepsは米国とフランスの多国籍企業。なお、投資家側のSonaeもポルトガル発の多国籍企業である。

プラットフォームから作られた農薬はテストの結果も良好

マイクロペプチドは、植物ゲノムにコードされた天然分子で、低分子(原子の数が少ない)のたんぱく質。およそ10〜30個のアミノ酸から構成される。20の天然アミノ酸から10個のアミノ酸長ペプチドを作る際の組み合わせは、約10兆通りだ。

マイクロペプチドは、従来の化学物質と比較して10分の1〜100分の1の用量で効果を発揮する。また、保管条件や他の生物への曝露に耐えるのに十分な安定性があり、葉に散布したり土壌に入れたりした際の浸透性も高い。

ただ、マイクロペプチドは10兆という極めて多くの組み合わせがあるため、対象植物に適切なマイクロペプチドを探索するのが極めて困難であった。

そこでMicropepはバイオインフォマティクスのアプローチで効率的、スピーディーな探索を実現。Krisalixというプラットフォームを開発した。これにより、農業生産者が自身の予算に合った適切な農薬を入手できる環境構築を目指す。

2023年4月には、バイオインフォマティクスによって作られたバイオ殺菌剤を実地で試験し、「結果が良好であった」と発表した。

調達資金により「市場投入までの時間短縮」をCEOが明言

今回の資金調達について、MicropepのCEOで共同創業者のThomas Laurent氏は「市場投入までの時間が短縮されるだろう」とコメント。マーケティング、営業体制の構築を見据えているとうかがえる。

2社の新規投資家はいずれもCVCだが、事業会社としてのCortevaは農薬や種子のメーカー。Sonaeは、不動産やエレクトロニクスとともに食品事業も手掛ける。




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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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