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自動運転開発のNuroがシリーズEで156億円を調達。完了後には日本への進出も発表

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自動運転技術開発スタートアップの米Nuroは2025年4月9日、シリーズE資金調達ラウンドでの$106m(約156億円)の確保を発表した。

Nuroは、人が乗る自動車の自動運転技術も有するが、無人で宅配する自動運転車を開発しており、Domino’s(ドミノピザ)がこれを利用している。そのため、Nuroは自社を「世界で最もスケーラブルなAIドライバーを開発する、アメリカのフィジカルAI企業」と説明する。

「R」シリーズで商業展開をしつつ、乗用の完全自動運転も開発中

Nuroは、Jiajun Zhu CEOとDave Ferguson社長により2016年、シリコンバレーのマウンテンビューで設立。Zhu 氏もFerguson氏もGoogle出身で、現在のWaymoのプロジェクトにエンジニアとして携わっていた。

2018年には、配達用途の自動運転車「R1」の商業向け販売を発表。翌2019年以降、前述のDomino’sやWalmart、FedExなどが利用している。現在、Rから始まる小型の配送用車両は、R3が最新モデルとなっている。

R3(Nuroメディアキットより)

一方、人が乗るタイプの自動運転車はレベル4の技術を開発中で、商業展開には至っていない。「P2」と呼ばれる自動運転のシステムをトヨタ「プリウス」に搭載してテストを進めており、2023年3月時点ではオペレーターが乗った状態で地域ごとの地図作成が行われていた。

P2(Nuroメディアキットより)

なお、この2023年時点の情報では、以後、完全無人運転のテストへ移行し、プリウスは地図作成用途のみに使用するとしていた。

そして2024年には、高速道路で初めての自動運転を行ったと発表し、レベル4自動運転システムの「Nuro Driver」の完成が間近だと説明。また、Nuro Driverの技術的成熟を機にビジネスモデルを転換し、OEMやプロバイダーにライセンス供与する形で収益化を図るとしていた。

このように乗用の自動運転は実証段階であるが、一方でシリーズE完了後の2025年4月15日、Nuro Driverを日本に上陸させデータ収集を行うと発表した。こちらも実証ではあるものの、Nuroにとって初の米国外への進出となる。地域によって異なる交通の特性をAIにトレーニングさせるのが、大きな目的だ。

企業評価額が8820億円に到達

シリーズEには、投資・金融関連の複数の企業が参加。調達の成功により累計調達額は$2.2b(約3230億円)、企業評価額は$6b(約8820億円)に達したと、Nuroは発表した。

資金は、「AIベースのテクノロジープラットフォームの拡張と商業パートナーシップの推進を支える」ことに利用するという。

CEOのZhu氏は「シリーズEで投資家の強い(当社への)関心を目の当たりにし、大変嬉しく思っている」と述べた。




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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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