5G衛星通信を手掛けるOQ TechnologyがシリーズBで約49億円を調達。低軌道から地球上のほぼ全域をカバーする5G網の構築へ
衛星通信企業のOQ Technologyは2024年10月21日、シリーズBラウンドで€30m(約$32m、約49億円)の資金調達を完了した。転換社債投資を含み、資金の大部分をルクセンブルク政府からの支援が占める。
IoTに主眼を置いた5G衛星通信
OQ Technologyは2016年に創業したルクセンブルクを拠点とする衛星通信企業で、IoT接続技術のサービス開発を展開。設立以来、5Gネットワーク技術を用いて地球上の通信サービスが行き届かないエリアへの接続提供に取り組んでおり、地球低軌道(LEO)に投入した低軌道衛星ネットワーク網で、農業、エネルギー、物流などの産業分野に向けて、従来インフラではカバーしきれない地域での通信を可能にした。
2021年から2024年にかけて、商用仕様の衛星がSpaceXのロケット「Falcon 9」などで打ち上げられ、地上の端末が衛星からの電波を受信。各種IoT機器に接続する。商用の初号機は「Tiger-2」で、以後、通し番号で「Tiger-8」までが軌道に投入された。
2023年には、Aramco、o2 Telefónicaとそれぞれ基本合意書(MoU)を締結。前者は遠隔地インフラのIoT接続、後者はo2 Telefónicaの契約者がグローバルなIoT接続を可能にするものだ。
さらに、今回の資金調達が発表される3日前の2024年10月18日には、衛星運搬サービスを展開するD-Orbitとの共同ミッションを実施するとの発表もあった。OQ TechnologyはD-OrbitのION Satellite Carrierを用いて、衛星ポートフォリオを拡大していくという。
参考記事:衛星運搬のD-OrbitがシリーズCで約245億円を調達。リードインベスターは丸紅
SES出資の基金やAramcoのCVCが対応
シリーズB資金調達ラウンドでは、SES(人工衛星を保有・運用する多国籍企業)とルクセンブルク政府が共同で主導する新設のルクセンブルク宇宙セクター開発基金(LSSD)、Aramcoのコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)であるWaed Venturesらが参加した。
前述の通り、転換社債投資も含まれており、事業の成長促進に向けて資本構造の多様化を図る。
報道によると、今回の調達で得られた資金によって20基の新規衛星製造と打ち上げに活用するという。
創業者兼CEOのOmar Qaise氏は、今回の調達について「この投資は当社にとって大きな後押しであり、また他の投資家が当社に投資する自信につながると考えている。世界最大の衛星オペレーターとエネルギー企業CVCの両方から支援を受けていることは、当社サービスがどれだけの価値を持つかの証拠となるだろう」と述べた。
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