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生体計測可能なリングを開発したŌuraがシリーズDでDexcomより116億円を調達。戦略的提携も同時に発表

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スマートリング(指輪)を開発するフィンランドのスタートアップ、ŌuraはシリーズD資金調達ステージでDexcomより$75m(約116億円)の投資を受けたと発表。同時に、これまでŌuraがスマートリングで行ってきた生体計測のデータとDexcomが持つグルコースの計測データを組み合わせる戦略的提携も発表した。2024年11月19日、両社が明らかにした。

Ōuraは今回の調達により、企業評価額が$5b(約7736億円)を超えたとしている。

参考記事:睡眠モニタリングデバイスのOura Ringは生体センシングの新しいプラットフォームになるか?

ウエアラブルな生体計測を行う両社

Ōura のスマートリングは、ユーザーの睡眠、運動、ストレスなどを計測。同社の発表によると、これまで250万個以上を売り上げており、ユーザーは100万人を超えるとしている。

設立は、2013年。フィンランドを南北に見たときちょうど中間にあるオウルが創業の地だ。これまで10回の資金調達を実施し、総額は$223m(約343億円)に上る。2021年に行われたシリーズC資金調達ラウンドでは、複数のベンチャーキャピタル(VC)から$100m(約109億円)を確保した。

また、2024年10月には新たなモデルである「Oura Ring 4」をリリースしている。

Oura Ring 4(Ōuraプレスリリースより)

一方、投資家側のDexcomは1999年、米カリフォルニア州サンディエゴで設立。グルコースのバイオセンシング技術を有し、糖尿病予防やそのモニタリングに活用されている。

2024年6月には、米国では初めてとなる市販グルコースバイオセンサー「Stelo」を発売。こちらもŌuraのデバイスと同様、ウエアラブルな方法で計測するものとなっている。

Stelo(Dexcomメディアキットより)

データとアプリを統合へ

DexcomのMatt Dolan上席副社長は投資・提携を発表の後、「Ōuraとの提携により、両社が持つデータを統合でき、このカテゴリーを再定義することになる」とコメント。DexcomとしてもŌura のデータを利用できることで、自社顧客に対する価値向上が見込めるとの考えがうかがえる。

発表によると、両社はまずデータを統合し、そしてアプリも統合する。これにより、両社いずれのユーザーも自身のグルコースや睡眠、運動などといった各種データの利用が可能になるという。アプリの統合は2025年前半に行われる予定だ。

ŌuraのTom Hale CEOは、次のようにコメントした。

「Oura ユーザーの 97% が、食べ物が健康にどのような影響を与えるかに関心を示している。ŌuraとDexcomは協力して、ユーザーの睡眠や運動などの活動と血糖値との相関関係を明らかにし、いつ何を食べるかを決めるのをサポートする」




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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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