蓄電ソリューションを開発するPowerXが東邦ガスからのシリーズC資金調達が完了
国内で大型蓄電池などを開発するPowerX(正式社名 パワーエックス)は2024年11月5日、シリーズC資金調達ラウンドで東邦ガスからの調達を実施したと発表した。
具体的な調達額は明らかにされていない。しかし同社は2024年9月に、シリーズCの前半として24億6000万円の確保を発表。海外で発信された情報によると、シリーズC全体での調達総額は$63m(約96億円)と見る向きがあり、東邦ガスからも数十億円を獲得した可能性がある。
蓄電池だけでなく「電気運搬船」も
カーボンニュートラルやエネルギー安全保障の観点から、日本政府は2030年までに電源構成のうち再生可能エネルギーが占める割合を36〜38%にすることを目指している。資源を持っている国家も、カーボンニュートラルは国際社会から要求されている以上、この方向性は大きく変わらない。
再生可能エネルギーは、気候などによって発電量が影響を受ける。そのため再生可能エネルギーを電源として、安定した電力供給を行うためには、必然的に蓄電池が必要となる。たとえ需要以上の発電があっても、需要より発電量が少ない場合に備え、電気を蓄えておくためだ。
PowerXがすでに販売している蓄電池「MegaPower」の公称容量は2742キロワット時。現在のところ工場などが納入先となっており、電気料金が安い時間帯に蓄電するといったピークシフトを用いることで、38%の料金削減効果があったと訴求する。
他、電気自動車(EV)用充電器とともにPowerXが取り組む関連事業が「電気運搬船」だ。PowerXは2024年2月、会場パワーグリッドという子会社を設立。電気運搬船を造り、洋上風力発電でつくった電気を需要地へ運ぶ、離島へ電気を運び供給する、といった事業を進める。
海上パワーグリッドの紹介動画
初号船は2026年の就航を目指す。
シリーズC前半は戸田建設などが対応
シリーズCで投資に踏み切った東邦ガスは、中部地区で事業展開するガス会社。エネルギー自由化やカーボンニュートラルのため今後、ガスへの忌避が懸念されるため、東邦ガスも競合他社と同様、電力事業を行う。
PowerX、東邦ガスの両社とも、「それぞれの強みを活かし、再エネやエネルギーマネジメントに関する相互連携を検討し、カーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みを推進していく」といった趣旨のステートメントを発表している。
具体的な資金の使途は明らかにされていない。
なお、前述のシリーズCの前半は、新規投資家として戸田建設やSMBC日興証券などが応じた。
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