ソックスで糖尿病性足潰瘍を予防するSirenが約15億円調達。体温を医師・看護師へ随時送信

足の体温モニタリングで糖尿病性足潰瘍(DFU)を予防するソリューションを開発しているSirenは2025年1月8日、$9.5m(約15億円)の資金調達完了を発表した。
Sirenは「Siren Socks」という靴下で、足の温度をモニタリング。随時、データを医師や看護師へ送信し、DFUの予防につなげる。
足切断の可能性を8割以上低減
世界保健機関(WHO)によると、糖尿病患者はグローバルに8億3000万人存在する。糖尿病の状態にあると、動脈硬化などによって足が潰瘍するリスクが高まる。もし、DFUに至れば最悪のケースでは、足を切断しなければならない。
また、糖尿病患者が足に熱さを感じてDFUを防げるケースがあるものの、気付かないまま壊疽に至ってしまうケースもある。足に熱さを感じるのは、神経障害によるものでDFUなどの合併症の初期症状だ。
Siren Socksは、こうした自覚症状にかかわらず足の温度を常時、モニタリングすることでDFUを予防。Sirenの発表によれば、DFUのリスクを68%、切断のリスクを83%、低減するという。
Siren Socks(Sirenプレスリリースより)
収集したデータは、プロバイダーと呼ばれるSirenのトレーニングを受けた医師や看護師へ送信。プロバイダーにとっては、モニタリングによる報酬を受け取れるメリットがある。
患者にとっては、スマートフォンアプリが不要(データは電源プラグ差し込みの「ハブ」で送信)、洗濯機で洗える、などといった点がメリット。メディケアをはじめとした米国の保険制度の適用が可能だ。2021年時点の報道によると、月額料金は$19.95(約2200円。当時レート)となっている。
Sirenの資金調達は今回の2025年以前では、2021年8月のシリーズB資金調達ラウンドが直近の例となる。このときは$11.8m(約13億円。同)を調達。ベンチャーキャピタル(VC)が主導し、Peter Thielが共同創業したFounders Fundも参加した。
スウェーデンのMölnlycke Health Careが主導
Sirenが2025年1月に調達した$9.5mのうち、$8m(約13億円)はスウェーデンの医療機器・用品メーカー、Mölnlycke Health Careが投資した。Mölnlyckeは、外科手術衣や消毒薬などを製造、販売する。その他の投資家は明らかにしていない。
資金の使途も具体的には明かされていないものの、Mölnlyckeが有する創傷ケアの専門知識をSirenへ統合していくという。
SirenのRan Ma共同創業者兼CEOは、次のようにコメントした。
「Mölnlycke と私たちは協力し、医療従事者の負担を軽減しながら患者が健康で自立した状態を維持できるように支援するツールの提供を目指す。予防を行うことは、人生を悪い意味で変えてしまう合併症を回避するための鍵だ」
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