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TIER ⅣがシリーズBで85億円を調達、大手自動車メーカとの提携で自動運転技術の展開へ

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愛知県名古屋市に拠点を置く自動運転技術のスタートアップTIER IVが2024年6月17日、シリーズB追加ラウンドで85億円の資金調達を達成したと発表した。シリーズBラウンド全体の資金調達額は207億円、創業以来の累計資金調達額は381億円に上る。

レベル4自動運転(特定の条件下で、車の自動運転システムが人間のドライバーに替わって全ての運転を担う)の日本国内展開を目指す。

日本発「自動運転の民主化」で社会的イシューの解決に挑む

TIER Ⅳは「自動運転の民主化」をビジョンに、オープンソースの自動運転ソフトウェア「Autoware」を活用したソフトウェアプラットフォームを提供している。

自動運転は、交通事故の抑制や交通の効率化による渋滞の緩和、人口減によって公共交通サービスが縮小する地域における持続可能なモビリティサービスの提供などを可能にする技術として社会的に期待されている。

Autowareは東京オリンピックの選手村で使用されたトヨタ自動車の自動運転バスに採用されるなど、実機への搭載が進んでいた。

7月からはタクシー会社の日本交通と協業し、公道上でのデータ収集を開始している。

国内トップの調達規模、政府目標や大手メーカとの連携で業界をリード

シリーズB追加ラウンドでは、いすゞ自動車と大成建設、三菱商事、スズキの4社が参加。日本経済新聞の報道によると、いすゞ自動車は4社のうち最大となる60億円を出資した。これによって、Tier Ⅳは2024年1~6月における国内スタートアップ企業の資金調達額第1位となった(イシン調べ)。

今回の資金は都市部のタクシーや路線バス、物流サービス用の新車両モデルの開発や安全性評価方法の改良などに使用される予定だ。同社のスケーラブルなソフトウェア技術とスズキの製造業におけるノウハウを活用し、持続可能で安全なモビリティサービスの展開を目指す。

日本政府は「2025年までに50カ所、2027年までに100カ所以上で、レベル4自動運転システムを展開する」という目標を掲げており、その目標の中でTier Ⅳは、国内外での商業化を進める役割を期待されている。2022年には国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の採択を受け、総額254億円規模の自動運転研究開発プロジェクト「Microautonomy」に参加。また、今回の資金調達発表の同日にスズキとの資本業務提携も発表しており、自動運転技術の普及を業界全体で推進していく考えだ。




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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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