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低コストな非侵襲脳手術デバイス開発のZAP Surgical SystemsがシリーズEで117億円調達。中国製薬大手が主導

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非侵襲性の脳手術デバイスを開発するZAP Surgical Systemsは2024年11月8日、シリーズE資金調達ラウンドで$78m(約117億円)の確保を発表した。

同社が開発するのは、転移性脳腫瘍や髄膜腫、三叉神経痛などの際に行われる定位放射線手術(SRS)のための機器。SRSは世界で500万人の患者が利用しているが、そのうち最適な施術が行われるのは20万人しかいないとされ、この課題解決を図る。

創業者はサイバーナイフ開発者

ZAPは、スタンフォード大学元教授(現名誉教授)で医師のJohn R. Adler氏らによって2014年、創業。

Adler氏はZAP創業より前に、サイバーナイフという非侵襲的に腫瘍を取り除く機器の開発に成功している。このサイバーナイフの商業的な拡大を目的とし、Accurayという企業を1992年に設立。こちらは現在、NASDAQに上場している。

サイバーナイフ(Accurayプレスキットより)

ZAPが開発したプロダクトは、「ZAP-X Gyroscopic Radiosurgery」という、MRIに似た形をした機器だ。製品名の通りジャイロスコープ(Gyroscope)技術が組み込まれており、脳内の患部への高精度な放射線照射を訴求している。

ZAP-X Gyroscopic Radiosurgery(ZAPメディアリソースより)

従来のSRSが抱えていた課題解決も図る。管理が面倒なコバルト60を使用せず、また機器の設計から設置場所の放射線遮蔽を必要としない。そのため、上の写真のように窓がある場所にも設置可能だ。

ZAP-X Gyroscopic Radiosurgeryは、米国だけでなく、欧州、アジア各国の医療機関でも導入が進む。2024年7月には、日本で3台目の設置場所となった新松戸中央総合病院で、ZAP-X Gyroscopic Radiosurgeryによる初めての施術が行われたことを、ZAPが発表した。

調達資金により商業的拡大へ

シリーズEではBaheal Medical(百洋医薬集団)が主導、ZAPによるとその他の投資家も応じ資金を確保できたという。Baheal Medicalは、中国・青島を拠点とする製薬大手だ。

資金の使途は「ZAP-X Gyroscopic Radiosurgeryの商業化促進」としており、主にマーケティング面で活用するものと見られる。

前出の創業者で現CEOのAdler氏は、声明で「ZAPを創業したのは、法外な費用やインフラ要件なしに、より多くの患者が最先端の放射線手術を受けられるようにするという明確なニーズに応えるため」とビジョンを語った。




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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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