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元GM副会長が率いるVCが主導し、自動運転トラックのTuSimpleがシリーズEで350m$の資金を調達

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スタートアップデータベースのCrunchbaseによると、2020年11月30日、自動運転トラックを開発するスタートアップのTuSimleがシリーズEで350m$の資金を調達した。

今回の資金調達ラウンドは、元GM副会長Steve Girsky氏が率いるVCのVectorIQがリードインベスターとなり、商用バスやトラックを製造するNavistarとVolkswagen Groupが参画している。

自動運転トラックを開発するTuSimple

TuSimpleはカリフォルニア州サンディエゴに本社を置き、上海、北京にも施設を持つ自動運転テクノロジー企業である。

TuSimpleは、長距離大型トラックの需要狙った、商用対応のレベル4(SAE)自動運転ソリューションを開発している。驚くことに、同社は2015年に設立されたばかりであるが、2019年にはユニコーンの地位に到達。今回の資金調達ラウンドで、これまでに調達した資金の総額は648m$にも上る。

同社のトラックはレーダー・LiDAR・HDカメラを搭載し、360度を認識することができ、最大1,000メートル離れた場所を確認し、大量のデータをシミュレーションに取り込むことで安全性を大きく向上した自律システムを開発している。現在はアリゾナ州とテキサス州で実証走行のために稼働しているという。

https://www.youtube.com/watch?v=OB4RCOMlI6A
同社公開のYoutubeへの直リンク

2020年9月にVW傘下のTRATONと自動運転トラックの開発で競業を発表

TuSimpleは2020年9月にVW傘下のTRATON Groupと自動運転トラックの開発に向けたパートナーシップを発表していた。

スカニアのトラックを使用した、スウェーデンのSödertälje(セーデルテリエ)からJönköping(ヨンショーピング)までの最初のSAEレベル4自律ハブツーハブルートを運用する開発プログラムを開始。また、この時すでにTRATONはTuSimpleへの少額出資も行っている。

画像クレジット:PRNewsfoto / TuSimple

今回の資金調達ラウンドでは、VW Groupからも資金が入っており、2020年9月のTRATONとの連携及び少額出資に引き続き、フォルクスワーゲングループにおける連携強化の動きとも見える。


自動運転ベンチャーの最新動向がわかるカリフォルニア州の走行距離レポートをまとめているためこちらもご参考。

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ー 技術アナリストの目 -
別の記事でダイムラーがLuminarのLiDARを使い、高速道路での自動運転化を目指すという記事を書いたが、今回もトラックの完全自動運転化を狙った動きである。2020年7月にもTuSimpleはNavistarと提携し、2024年までに自動運転トラックの生産を開始するという発表もあったが、自動運転トラックの開発も加速している。
  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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