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米軍からも支援されるxR用透明光学モジュールを開発するNewSight Reality

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xR向け透明光学モジュールベンチャー

NewSight Realityは2018年創業の、xR向けの透明光学モジュールを開発する米国のシードステージのベンチャー企業だ。

社員わずか10名弱の同社は、ジョンズホプキンス技術諮問委員会の元会長であり、写真、画像、分散ストレージ技術で特許を保有するCEOのPhil Garfinkle氏と、そしてAppleのモバイルデバイスのプログラムディレクターであり、MicrosoftでHololensに従事をしていたCTOのSvetlana Samoilova氏によって率いられている。

同社の透明光学モジュール(TOM:Transparent Optical Module)は、拡張現実(AR)向けのスマートグラスのレンズ等に提供することができる。

これは薄くて軽量であり、かさばるデバイス形状や高エネルギー消費(特に日中の運用での)、そして現場での実用性の欠如など、業界が現在直面している困難な障害を克服するために特別に設計されているという。要は、軽くて薄い、高効率で、高品質のARグラスを実現することができる光モジュールということだ。

米国特殊作戦軍(USSOCOM)から開発支援を受ける

同社は2020年に、米国特殊作戦群(USSOCOM:United States Special Operations Command)から開発契約賞を受賞している。これは、同社が開発中のプロトタイプレベルの透明光モジュール(TOM)の設計・研究開発・テストを支援するものとなっている。

なお、この契約の中には様々なオプションがあり、すべてのオプションが行使された場合は、実に40か月間で累積で1400万ドル以上になるという。

CEOのPhil Garfinkle氏はこう述べている。「ARディスプレイに必要な全てのコンポーネントを含むTOMのパッケージ設計は、任意の数のアプリケーションにプラグインして利用するために、形状を変更したりサイズを変更することができる、柔軟なソリューションを提供します。」

2021年6月に製品デモについて発表

同社は、これから技術開発を加速するための新しい、そして最初の戦略的資金調達ラウンドを予定しており、2,000万ドルを目標として資金調達ラウンドを実施するという。

その一環で、2021年7月からコアテクノロジーの公開デモンストレーションを開始すると発表した。最新の技術開発マイルストンの進捗についても発表される見通しであり、直近で明かされた情報は以下となっている。

  • 重量 :必要なスケーラビリティに基づき、重量は2g以下
  • 熱さ :2mm以下で、平面メガネやヘッドセットに埋め込むことが可能
  • 透明度:〜90%
  • 形状 :湾曲した、単眼または両眼のアプリケーションを対象
  • 高効率:効率的なエネルギー使用量と熱放散により、日光下のアプリケーションでも高輝度が可能

関連ベンチャーのWaveOpticsは買収される

さて、この透明光学モジュールが適用できるxR向けスマートグラスや、透明ディスプレイであるが、技術として注目はされているが、まだ業界全体としては技術開発が進行中であり、試行錯誤している様子も見える。

ちょうど直近の2021年5月、AR向けスマートグラスの開発で先行していたWaveOptics社が、同じく拡張現実ARスマートグラスを開発しているSnap社に買収されることを発表。単独での開発を断念し、Snap社傘下で開発を行うことになった。

参考:拡張現実スマートグラスのWaveOpticsが買収される

WaveOpticsはシリーズCまで調達ラウンドを進めていた中での買収となり、買収自体は珍しいことではないが、やはり同分野の技術開発及びアプリケーションとしての市場開拓は必ずしも簡単ではないことが伺える。

NewSight Reality社は今後、技術開発だけでなく、技術が市場でどのように使われるのか、アプリケーションサイドもにらみながら研究開発する必要があり、年内行われるであろう資金調達ラウンドがどうなるのか、注目である。

 

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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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