固体電池ベンチャーのAmpceraがSBIRのフェーズⅠの研究開発助成を受けると発表
米国シリコンバレーで固体電池の開発を行うベンチャー企業のAmpceraが、米国の研究開発助成のSBIR(Small Business Innovative Research)のフェーズⅠを米国エネルギー省から受けたと発表した。
リチウムデンドライト抑制のための固体電解質膜の開発がテーマ
今回採択を受けたSBIRのフェーズⅠであるが、リチウム金属電池のための「リチウムデンドライト抑制のための固体電解質膜の開発」がテーマとなっている。
Ampceraは負極にリチウム金属、そして電解質にセラミック固体電解質を使ったリチウム金属固体電池を開発している。
直近でも様々な技術開発についての情報が発信されており、2021年4月には、固体電解質の重要課題の1つであるイオン伝導度が低いという問題に対して、電解質に誘導加熱可能な材料、または抵抗加熱が可能な材料を埋め込むことで、動的に固体電解質を加熱し、イオン伝導度を高く維持することができる技術を発表している。
参考:シリコンバレーベンチャーのAmpceraが特許出願中の全固体電池技術について発表
そして今回のSBIRのフェーズⅠで採択された開発テーマは、まさにリチウム金属電池における最大の課題とも言える、リチウムデンドライト抑制に関する技術開発だ。Ampceraがどのようにこの課題を解決するのか、詳細は不明であるが、リチウムデンドライトの成長と伝播を抑制するために、設計された粒子構造の固体電解質膜を迅速に形成する技術が、同社によって実証されているという。
AmpceraのCTOであるHui Du博士はこう述べている。
「デンドライトの成長を抑止することで、固体電池のエネルギー密度とサイクル寿命の両方を向上させることができます。固体電解質膜を大判電池の製造に直接統合できる低コストで迅速な製造アプローチを使用することで、この革新的な技術により、450Wh/kg(Wh/kg)以上の重量エネルギー密度で、75$/kWh未満の固体リチウム金属電池が可能になります。」
過去にはセラミック複合電解質のロールツーロール生産技術をSBIRで開発
ちなみに過去にもAmpceraはSBIRの助成を受けて技術開発を行っており、2019年にセラミック/ポリマー複合電解質材料を形成するための低コストのロールツーロールによる生産技術を開発している。ただしこのテーマはフェーズⅠで終了しており、その後フェーズⅡ以降の助成は行われていない。
(補足)ちなみに米国のSBIRの技術開発助成プログラムのスキームについて簡単に説明をしておくと、フェーズⅠは概念検証(PoC)や実現可能性評価を行ったり、初期の研究開発を行うもの。そしてフェーズⅡはフェーズⅠを行った企業が継続でR&Dを行うために実施するもの。最後のフェーズⅢはフェーズⅠ・Ⅱでの研究開発の成果の実用化、商業化を目的としたものとなっている。
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