マイクロソフトやクアルコム、日立が倉庫ロボティクスのinVia Roboticsに出資
マイクロソフトのCVCであるM12と、クアルコムのCVCであるクアルコム・ベンチャーズが、倉庫ロボティクスのinVia Roboticsに出資を行ったことが、7月28日に発表された。inVia RoboticsのシリーズCにあたり、資金調達額は30m$(約33億円)となる。
また、今回のシリーズCラウンドでは日立製作所のCVCである日立ベンチャーズや、既存投資家のPoint 72、Upfront、Embarkらも出資をしている。
今回のシリーズCで、これまでのinVia Roboticsの累積資金調達額は59m$(約64億円)となる。
倉庫オペレーションを自動化するロボットを開発
inVia Roboticsは、2015年に設立された米国のベンチャー企業で、次世代の倉庫最適化ソリューションを開発・提供している。
同社が開発した、倉庫内を動き回る自律移動ロボットと、AI駆動型ソフトウェアを活用して、ECの倉庫や、3PLが商品発送センター全体のフローを自動化および最適化するのを支援する。
倉庫内の作業員は、所定のパレットに荷物をセットすると、inViaが開発したAIによって計算された最適な搬送ロジックで、倉庫内を24時間365日、自律移動ロボットがパレットを運ぶという仕組みだ。
初期コストを下げるサブスクモデル
inVia Roboticsはビジネスモデルにも特徴がある。
こうした倉庫自動化ソリューションを導入するには、ハードウェア・ソフトウェア、そして導入支援のコンサルティングといった費用がパッケージでかかる。さらにハードウェアのメンテナンスも必要になってくる。通常、初期導入費用は高く、導入のためのハードルとなる。
同社のビジネスモデルはいわゆるサブスクモデルで、Robot as a Service(RaaS)と表現される。ロボットなどの機器はリースの形となり、メンテンナンスもサービスに含まれる。ユーザー企業は、求める生産性のレベルに応じて、導入規模と料金が変わる。
今回のシリーズCに出資をしたM12のプリンシパルであるJames Wu氏はこう述べる。
「inViaの統合ソリューションは、ソフトウェアとAIをコアに組み込むことを通じて、従来は大企業だけが利用できた自動化運用とコスト効率を、様々な倉庫管理者が活用できるようにします。あらゆる規模の企業がスケーラブルなカスタマイズを実現できるようになります。」
北米での拡大とアジア・EMEA市場への参入
同社の業績は急成長している。コロナウイルスによるパンデミックの影響で、Eコマースの需要が急拡大しており、同社によると米国だけでもeコマース市場は前年比44%の成長を遂げた。そして、商品配送センターは記録的なオンラインショッピング数に追いつくために、即時かつ長期的な調整を行う必要に迫られている。そうした市場を追い風に、2020年のinViaの収益は、600%増加したという。
同社は今回調達した資金を使って、すでに実証済みである北米市場での製品の拡販と運用サポートを拡大するとともに、APACとEMEAへの市場拡大を促進する。
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世界の倉庫自動化のベンチマーク調査や、倉庫自動化で使えるロボットベンチャーの網羅的な調査などに興味がある方はこちらも参照。
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