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エンブラエル傘下のEVEがアジア太平洋地域でのエアタクシー展開でパートナリングを強化

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ブラジル航空機大手のエンブラエル傘下でeVTOLを開発しているEve Urban Air Mobilityが、アジア太平洋地域でのエアタクシー展開に向けて、以前よりパートナーシップを締結していたAscentとの提携関係を、更に強化することを発表した。

最大100機のeVTOLを提供

EveはEmbraerXという、破壊的イノベーションとなるような新規領域での事業開発や技術開発を目的に設立されたアクセラレーションから生まれた企業だ。現在公開されているコンセプトデザインによると、4人乗り(+パイロット1名)の機体で、2つの推進用プロペラ、両翼にそれぞれ小型ローターが4つずつ付いている。

他のベンチャー企業は機体情報やテストフライトの様子を動画で公開し、自社の優位性や技術進捗について発表しながら事業開発活動や将来の顧客候補を探索している。一方で、Eveはまだ機体の詳細も公開しておらず、技術開発の進捗は不透明だ。しかし、現時点で民間ヘリコプター旅行会社のHalo AviationへのeVTOL200機の受注など、受注活動を先行して行っている。

参考:エンブラエル支援のベンチャーEVEが200機のeVTOLをHalo Aviationから受注

今回のAscentとの提携関係強化の一環として、現在・将来のルートにおいてAscentが提供するライドシェアや個人向けの空のサービスに対して、最大100機の航空機を配備することを計画している。

時間当たりの課金モデル

なお、今回のAscentとの取り組みはややビジネスモデルに特徴がある。

それはフライト時間当たりの課金モデルになっているという点だ。両社はこの点について詳細を開示していないが、AscentがEVEの機体を使用した飛行時間の料金を支払うことになっている。このビジネスモデルは、EVEを「業界のリーダーとして位置付けるためのイブの包括的なUAM戦略の一部」であるという。

通常は、機体購入+メンテナンスサービスなどのビジネスモデルになるが、サービス事業者にとって初期の購入費用負担が大きい。また、エアタクシーという新しいサービスの市場ニーズは、実際のところ、どれだけシミューレーションしたところで、ローンチしてみないとある程度はわからない部分がある。時間当たりの課金モデルというのは、サービス事業者にとっては導入が非常にしやすくなる。

Ascentは東南アジアのエアタクシーサービス事業者

今回EVEと提携をしたAscentであるが、2018年にシンガポールで設立されたベンチャー企業で、東南アジアに特化した都市エアモビリティ―サービスを提供している。

現時点ですでに、ヘリコプターを使った空のライドシェアや、プライベートでのエアタクシーサービスを展開しており、事業構造がややわかりにくいが、同社自身がアセットを持つのではなく、パートナーと提携し、同社のプラットフォームを通じてユーザーが予約・利用を行うものであるようだ。

例えばタイのバンコクから、バンコク近郊の空港であるHua Hin空港までヘリコプターで移動するのに、おおよそ50分で、1シートあたり44,000バーツ(約15万円)となる。金額を見るとわかるように、かなりの高額フライトとなっている。

今回の提携強化により、EVEは年間最大100,000時間相当の飛行時間キャパシティを提供する。


EVEのHPはこちら


【世界のエアモビリティ市場・技術の動向に興味がある方】

世界のエアモビリティ―サービス事業者のロングリスト調査やベンチマーク調査、またはeVTOLベンチャーの技術動向調査など、エアモビリティの技術調査に興味がある方はこちらも参考。

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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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