マイクロ波プラズマを用いた積層造形の6KがシリーズE資金調達ラウンド途上で約116億円を調達、材料の生産拡大へ活用
マイクロ波プラズマを用いた3Dプリント(積層造形)向け材料とバッテリー材料を開発する米スタートアップの6Kが、シリーズE調達ラウンド中で$82m(約116億円)を調達した。2024年9月5日、同社が発表した。
6Kはマサチューセッツ州ノースアンドーバーに本社を持ち、生産する材料は航空宇宙や防衛といった政府向け、半導体、ナノ分野など、多方面で活用されている。
マイクロ波プラズマ技術「Uni Melt」を軸に2事業を展開
6Kは3Dプリント用の金属粉を作る6K Additiveと、リチウムイオン電池の素材を作る6K Energyという2つの部門を持つ。
6K Additiveは金属スクラップや端材、あるいは規格外の金属粉を再び金属粉としてよみがえらせる事業を展開。マイクロ波プラズマ技術を用いて金属粉を作る「Uni Melt」という製法を軸にしており、従来の方法に比べてエネルギー使用量を91%削減、炭素排出量を91.5%削減したほか、工期も削減できる。
また、同年9月10日には角形のクロムやチタンの粉末も製造できるようになったと発表。これらの金属粉はプレスや焼結、溶射や射出成形、そして溶解やキャスト加工など、さまざまな加工に利用可能だ。
6K Energyは電池素材に特化した金属粉を生産。世界中で扱われる電池材料の多くが中国で生産されており、米国内資源の有効活用や経済安全保障の観点からもUni Meltによる金属粉は有効となる。
米国内の電池需要を満たすためには、2025年までに40もの従来工法のバッテリープラントの建設が必要といわれる。しかし、Uni Meltの活用で環境に負荷をかけず、低コストで電池素材を製造可能だと6Kは訴求する。
既存投資家から資金調達。CAM用新工場建設などに投資
今回の資金調達にはMaterial Impactなど既存投資家が応じた。Material Inpactはスタートアップへの投資だけでなく、商品開発やマーケティング、そして人材育成や組織づくりの支援も行っている企業だ。
調達した資金はIRA(Inflation Reduction Act、米インフレ抑制法)に準拠したリチウムイオン電池用CAM(Cathode Active Material、正極活性物質)の生産能力拡大に活用する。さらに、調達した資金によりテネシー州のジャクソンにPlusCMS電池材料プラントを建設、3Dプリントに利用する金属粉の生産能力拡大も使途となっている。
前CEOであるAaron Bent氏に代わって新しくCEOに就任したSaurabh Ullal氏は次のようにコメントしている。
「今回の資金調達、ならびに新工場建設でCAMの生産能力を拡大させると、月1トン生産できるようになり、さまざまな顧客の要望に応えられる」
CEOの交代に加えて新任の取締役として、自動車業界での経験が豊富なBeda Bolzenius氏とJeff Chamberlain氏を迎える。Bolzenius氏はマレリの元CEO、Chamberlain氏は戸田工業の支援を行った経験があるなど、日本を含めグローバルに活動してきた経営陣だ。
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